美しいデッサン画
こんにちは。最近、デッサンに関する記事が続いておりますが‥(^_^;)
今日は皆さんとご一緒に、素敵なデッサン作品を鑑賞致したいと思います。
それでは、どうぞ★ 先ずは、こちらのお作品をご覧下さい。
こちらのデッサン画は、イギリスの画家、ジョン・カンスタブル (1776年~1837年) の作品です。(※ ジョン・コンスタブルと表記される事もあります。)
独特な形状の幹の根を、描いています。
一見、丹念に沢山描き込まれている様ですが、必要最小限の筆数で、対象を明瞭、簡潔に捉えています。
作者がこの個性的な根の形状に注目をして、良く描き留めている様子から、恐らく、何かのタブロー(本制作)の為に行われたデッサンなのではと推察されます。
主役の幹と、背景の茂みの対比表現が心地良く描き分けられて、空間、距離、空気をも鑑賞者の私達は自然に感じ取る事が出来ます。
爽やかな眩しい程の陽光が感じられ、美しいですね。
描かれている幹の半分から上を見てみて下さい。 何だか陰になっていますよね? お分かり頂けますでしょうか‥?
これは、幹の上の茂る葉が陽光を受け、幹に落とした陰です。
画面に描かれていないものも、ちゃんとここには描かれています。 まるで、『語らずに語る』 日本の俳句の様ですね。
『 描かずに描く美 』 を学べる、堅牢なデッサン画です。
次は、素晴らしい人物デッサンをどうぞ!(*^_^*)
こちらのデッサン画は、イタリアの画家、ミケランジェロ・ブエナローティ (1475年~1564年) の作品です。
ミケランジェロと言う名は、美術に関心のあるお方でしたら、作品は知らずとも、一度はお耳にされた事があるのではないでしょうか?
ミケランジェロの本職は彫刻家です。(ダヴィデ像やキリストのピエタ像で有名ですね。)
しかし、卓越したその描写力から、システィーナ礼拝堂の祭壇画、天井画の制作を当時の教皇ユリウス二世により、命じられる事になってしまいます。
当然の事ですが、電気照明も無い時代です。蝋燭と窓からの光だけが頼りの作業。天井まで届く足場を作り、そこから上を向いてひたすら制作の毎日でした。
当時のイタリアの壁画は、フレスコ画の手法で制作をされていました。
フレスコ画は、壁に漆喰を塗り、その漆喰が乾かないうちに絵具を置かなくてはなりません。どんなに大変な作業だったか、想像を絶します。
記録によると、完成まで4年を費やされたとの事ですが、あの壁面、作画を見ると、これはとてつもない早さで描かれたと感じます。
ご興味のある方は、是非一度、図録などでご覧下さい。
(昔の図録は壁面洗浄前の為、青色が蝋燭のススでくすんで、絵も後世の加筆で変えられていますので、出来るだけ近年の物でご覧になられる事をお奨め致します。)
‥‥と、話題が違う方向へと逸れてしまいましたね(・_・;) 失礼致しました。 今回はデッサンに注目を致します!
続いての作品も、同じくミケランジェロの人物デッサンです。
一枚目の顔のデッサン同様、私はこれらの作品に出会った際、なんと美しい事でしょう!とため息が出るほどの感動を覚えました。
まるで、この世のものとは思えない美しさ。そして、匂い立つような気品‥‥。
世界の数あるデッサンの名画の中で、ひときわ輝いています。
この世のものとは思えない美しさに、私は、当時のイタリア人ってこんなに美しい顔立ちの人が居たのだなぁ‥‥と単純に受け止めたのですが‥。
題名を見てビックリ。 それもその筈、どちらとも 『 理想の‥‥ 』 と題されているではないですか!(;’∀’)
これは、ミケランジェロが理想とする、人間の美の形だったのです。なるほど‥この世のものではありませんでした‥(笑)
両作品とも、比較的小さなサイズの紙に描かれています。それにも驚きますね。
そして、こちらも ミケランジェロのデッサン画です。
チョークで描かれた、群衆画のデッサンです。
対象物を陰影で捉えると言う事を、見事に実現をしてくれているデッサンでしたので、こちらも今回取り上げさせて頂きました。
近景の人物、中景の人物、遠景(一番奥)の人物画と全ての空間を描き分けられており、空気の流れ、風をも感じます。
とても躍動的で、そして軽やか‥‥。安心して見て居られる素晴らしい作品です。
こちらのデッサンは、F4サイズ弱の紙に描かれています。こんな小さなサイズの紙に、繊細に良く描き込まれている秀逸なデッサンです。
最後は、こちらのデッサンをどうぞ。
こちらのデッサンは、フランスの画家、ジャン・バティスト・カミーユ・コロー (1796年~1875年) の作品です。
コローは現代の私達には油彩の風景画で良く知られていますが、彼の初期の頃は、人物画家でした。
正確には、仕事の為に肖像画を沢山描いていました。
こちらのデッサンは、先ほどのミケランジェロとは違って、簡潔なまでの線で、見事に対象の人物を捉えています。
必要最小限の表現で、最大限の効果を得ています。
私は常に、鉛筆デッサンのレッスンで 『 線で説明をしてはいけません 』 と申しております。
これは、線で、この対象物の形はここですよ~と言う、輪郭線による説明描きをしてはならないと言う意味です。
このコローの作品は、線で描かれていますが、線で対象物を捉えているのであって、線で説明描きをしたものではありません。
正に生きた線なのです。
とは言うものの、なかなかその違いの意味を理解するのは、難しいですよね‥‥(#^.^#;)
一見未完成に見える作品ですが、もう十分過ぎるほど、彼女の個性や生気を捉えた、本当に美しく、素晴らしいデッサンです。
この作品からは、『 未完の美 』 を学ぶ事が出来ます。
そして最後に‥‥。
デッサンや絵の勉強は、描いているだけでは、なかなか上達しません。
上達の為には、本物の絵画、本物の美術作品に触れる事が必要です。
自身の作品だけを見ているのではなく、是非一枚でも多く、素晴らしい作品に触れて下さい。
図録や画集も良いですが、出来るだけ美術館へ足を運んでみて下さいね。そこには学べるものが多く有りますよ。
直接、その芸術家の息吹を感じて下さい。
また機会を得て、素晴らしい作品をご紹介致したいと思います!どうぞお楽しみに‥‥(^_^)-★
今回も最後までお読み頂き、有難うございました☆ミ