作品の制作過程を ご覧頂きながら
こんにちは!★★★
今回は、鉛筆デッサンの描き方について、私の制作過程をご覧頂きながら、順に お話をして参りたいと思います。
当初の計画では デッサンの制作過程のご紹介が出来れば‥くらいのつもりだったのですが、
あれもこれもと書き足しているうちに、かなりの長編となってしまいました‥(^-^;)
現在デッサンのお勉強をされている方や、デッサンにご興味の有る方のご参考になりましたら幸いです ☆ミ
先ずは、描き初めから完成までの一連の制作過程を、ご説明と共にご覧下さいませ。
続いて、モチーフ ( モデルにした物体 ) の見方や捉え方、そして、使用画材 ( 鉛筆、消しゴム、用紙 ) についてのお話をさせて頂きます。
その後、描く姿勢や鉛筆の持ち方、照明などについても少し触れて参ります。
1番最後には、動く画像 も掲載させて頂きましたので、是非 合わせてご覧下さいませ★
( ※ 鉛筆デッサンの描き方②ティッシュボックス編は、こちらの記事 でご紹介を致しております。 )
【2023年2月12日追記・その他のデッサンの描き方】
⚫︎ vol.1 ドラえもんの縫いぐるみ編
⚫︎ vol.2 ティッシュボックス編 )
⚫︎ vol.3 ガラスのコップを持つ左手編 )
⚫︎ vol. 4 ワインボトルと玉ねぎ、タオル、スプーン編)
⚫︎ vol. 5 イラストの制作で 色、濃淡表現を磨く )
⚫︎ vol.6 椎茸(パッケージ入り)編
それでは、今回 私がモチーフに致しました物のご紹介から させて頂きます! (^_^)
真面目に白い石膏像を描くのかと思いきや‥‥。 ご覧の通り、まさかの ドラえもんの縫いぐるみでございます(笑)
こちらを鉛筆で デッサンして参りますよ (=^●^=) ドラちゃん、宜しくお願い致します–★
さぁ、それでは始めて参りましょう!
先ずは、用紙の中のどの辺りに、どれくらいの大きさで描くか考えます。(構図を取る作業)
そして、モチーフが持つ動きの方向性 (動性。これをムーブマンと呼びます) を良く確かめて、線を引いていきます。
( ※ この動きの方向性については、後程 詳しくご説明致します。 )
★ 次からの一連の画像は、クリックで拡大表示になります(*‘∀‘)
筆圧はあまり掛けない様に、軽いタッチで何度も線を引き、全体の形を捉えていきます。
ここで筆圧を掛けてグイグイ濃く描いてしまうと、間違った線を消す際に消し切れず、画面が汚い仕上がりになってしまいますので、注意して下さいね。
( 私は3Bを使用していますが、 3Bは間違った場合消えにくいので、2B辺りを使用される事をお奨め致します。)
間違った線を引いてしまっても、そのまま気にせず、どんどん線を引いていきます。 何度も線を引く作業の中から、確かな線を見つけていきます。
描き初めの作業の段階では、消しゴムは一切 使用致しません。
( 消しゴムの使い過ぎは、紙の表面を傷めて後の作業に影響を及ぼしてしまいます。使用する場合は、出来る限り回数を控えましょう。 )
この軽く線を引いて大まかな形を捉えていく作業の事を 『 アタリを付ける 』 と呼びます。 これは、 『 見当を付ける 』 と言う意味です。(^_^)
およその形が捉えられましたので、続いて 陰影表現を付けていきたいと思います。
陰影を付ける作業の前に、一旦 余分な線を消して、全体の線を整理致しました。( ここで初めて消しゴムを使用致しました。 )
※ 消しゴムは、文字消し用の、ごく普通のプラスチック消しゴムを使用しています。 練り消しゴムは使用致しません。
( 消しゴムについても、後程 詳しくお話し致します。 )
それでは、次から陰影を付けて参りますよ (^_^)★
主に、濃さ HBの鉛筆で、全体の調子を見る為に軽く色を置き始めました。
縫いぐるみの白い生地の部分は、白さ を表現したいので、色を濃くし過ぎない様に気を付けて、影と光を描いていきます。
白い生地の部分の色付けには、この段階では、私は5H、2Hを使用しています。
まだ鉛筆の扱いに慣れておられない初心者の方には、H系の芯は硬過ぎて扱いが難しいですので、HBを軽い筆圧で使い、薄い色を表現していかれる事をお奨め致します。
※ 高い筆圧を掛けて芯の硬い鉛筆を使用すると、紙の表面を傷付けて凹凸が出来てしまいます。
その結果、紙の表面に出来た凹凸に鉛筆の先が引っ掛かり、次からの色を乗せる作業が綺麗に出来ず、ムラのある仕上がりになってしまいます。
薄い色の鉛筆に加え、B、2B、3B、4B、5B なども合わせて使用して、陰影を付けていきます。
光が差している方向、陰のある部分を良く確かめながら、描き進めていきます。
照明を受けて床に出来た縫いぐるみの影も、描き足しました。 空間や光を表現する為に、床の影も大切ですので、忘れずに描きます。
床の影は主役の縫いぐるみよりも目立ってしまわない様に、自然な雰囲気の描写を心掛けます。 ( 床の影は、常に名脇役!である様に (笑) )
この段階でも見られる状態にはなりましたが、さらに精度を高めて仕上げたいと思いますので、もう少し陰影を描き進めます (^_^)
おヒゲ、首輪の紐、目、縫いぐるみと床とが接している一番暗い影の部分にしっかりと、濃い色(8B~10B)を描き足しました。
最後にココがポイント! 周囲の余白に付いた鉛筆の汚れを、文字消し用のプラスチック消しゴムで 綺麗に清掃します。
これをするのとしないのとでは、見た目に雲泥の差が出ますよ‥‥(笑) 是非忘れずに、やってみて下さいね。
はい、ではこれで‥‥ 完成 と致します! (^-^)★♬ お疲れ様でございました。
以上、制作過程をご覧頂きました♬
次は、モチーフ(モデルにした物体)の立体としての見方や捉え方について、ご説明をして参りたいと思います。
先のご説明の中で、モチーフが持つ動きの方向性 ( 動性。これを ムーブマン と呼びます )について、少し触れました。
それでは、この 『ムーブマン 』 とは、一体何なのでしょうか?
ご覧を頂いてのご説明が一番分かり易いかと思いましたので、下に図解を致しました (^_^) 先ずはこちらをご覧下さいませ。
静止しているもの、置かれた物体にも、固有の動きの方向性 があります。
今回のドラえもんの縫いぐるみ場合は、①天地方向、②左右の斜め方向、③手前から奥へと続く奥行きの方向、です。
もう少し掘り下げて観察していきますと、腕の付け根からこちら側に向かってくる曲線や、胴回りの円周です。
物体を輪郭線で認識して捉えるのではなく、図の赤く記した様に、常に立体として捉える事が重要です。
デッサンが苦手と仰る方は、皆さん物体を輪郭線で追ってしまいます。
物体は面の集合体であると認識し、この動きの方向性を捉えられれば、デッサンは飛躍的に描き易くなりますので、是非、覚えていて下さいね (*^_^*)
縫いぐるみと言う複雑な構造物ですが、左上に記した様に、頭は球体、体は直方体(又は円柱)として捉えると、立体としての陰影が見えてくる様になります。
★ ご参考までに。 北野田絵画教室の通信レッスンでは、ご提出頂きましたお作品へ、この様に図解をして、文章でのご説明も描き込んでおります。 さらに、ご連絡用の『 制作日記 』におきましても、ご説明、ご質問へのご回答などを合わせて行っております。
では続きまして。 使用画材( 鉛筆、消しゴム、用紙 )のお話を 順にさせて頂きたいと思います ★
【 鉛筆 】
今回、使用致しました鉛筆をご紹介させて頂きます。 私はいつも、こちらを愛用致しております。 (*^_^*)
10Hから10Bまでの22本がセットになった、三菱製のデッサンの為に作られた専用の鉛筆です。
デッサン用の鉛筆は、外国のメーカーからも色々と発売されていますので、それぞれお好みのものを探して、選ばれると良いと思います。
外国製のものは、全体的にかなり芯が硬めです。
もし、これからデッサンを始められるにあたり 鉛筆選びにお困りの方や、今お持ちの鉛筆で思う様にいかなくて悩んでいる方が居られましたら、
私の使用している こちらの鉛筆セットをお試しなられてはと思います。 全体的に芯が柔らかく、色の種類も多くて、とても扱い易いです。
鉛筆選びにお困りでございましたら、ご参考になさって下さいませ (#^.^#)
【 消しゴム 】
先の制作過程の中で、最初の段階で間違った線を引いても消しゴムは使わない、練り消しゴムは使わない、その様にご説明を致しておりました。
この様に申し上げましたのには、以下の理由がございます。
- 消しゴムの使い過ぎは紙の表面が荒れて、綺麗な陰影描写が出来なくなる
- 1本線を描いては消し、描いては消し、を繰り返していては、制作が進まない
- 練り消しゴムは紙の表面に糊の様に残って、その後の描写表現がが汚くなる
特に私が声を大にして申し上げたく思いますのは、3番目の 練り消しゴム についての注意点です。
練り消しゴムは粘土の様に自在に形が変えられますので、その点では非常に便利な画材です。
しかし、意外に思われるかもしれませんが、殆どの場合、実は 逆に制作の妨げになってしまっています。
デッサンと言うと、お約束の様に 練り消しゴムの存在が当たり前となっていますが、私の場合は、全く使用致しません。
その理由は、上記3番目の通りで、私は美しい絵肌で仕上げたく思っておりますので、練り消しゴムは使用しない様にしております。
沢山のメーカーのものを購入して試しましたが、結局のところ 程度が違うだけで、
やはり全て紙の表面に練り消しゴムのネバつきが残り、美しい仕上げが出来なくなってしまいました。
練り消しゴムを使用せざるを得ない場合は、私は、もうこれ以上描き込まない状態、仕上げの最後にだけ使用を致します。
よく、学生さんが 濃く描き過ぎてしまった箇所を、練り消しゴムでトントンと叩く様にして色を薄くしている姿を目に致します。
これも一つの表現方法ですから良いのですが、その後の作業に支障が出てしいまいますので、出来るだけ控えたいところです(^_^;
この様な 『 練り消しトントン 』 を避ける為には、いきなり濃い色で描いていくのではなく、薄い色をゆっくり重ねていく様にすると良いです。
綺麗に色を重ねられないのは何故だろう? など、お心当たりのある方は、一度、ご使用されている消しゴムを見直してみて下さい。
それでは、練り消しゴムを使わないのなら、細かな部分の修正や清掃などは どうしたら良いのか? と言う事になりますよね。
その答えは、下の画像です。 私の使用している消しゴム類です。ご参考にご覧下さいませ。 (^_^)★ ( 練り消しゴムは殆ど使用しておりませんので、白いままです‥(笑) )
私の場合は、細かな部分の修正や白色の描写には、文字消し用のプラスチック消しゴムを、ハサミやカッターナイフで大小に細かく切って、箇所に応じたサイズで使用しています。
プラスチック消しゴムは 紙の表面に残る事も無く、また、練り消しゴムよりも白く綺麗に消す事が出来ますので、終始 安心して使用出来ます。
他には、右側にある シャープペンシル型のものも、場合に応じて使用致しております。 (1番右上の青いホルダーのものは使用しておりません。サイズ比較のご参考の為に並べてみました。 )
この他にも、各メーカーから色々な形状のものが発売されておりますので、何か1つ合わせて持たれていると、とても便利ですので お奨めです (^-^)☆彡
( ※ シャープペンシル型消しゴムのメーカーは、上からステッドラー社、下の2本はトンボ社です。 ご参考までにどうぞ。 )
【 用紙 】
一般的には、鉛筆デッサンには普通の画用紙を使用致します。 ケント紙を使用する場合もあります。
ケント紙とは、紙の表面に凹凸がなくツルツルした紙で、主に、製図やデザイン画、漫画等に使用します。
表面に凹凸がない為、描写の際 ペン先が引っ掛からないので、製図等に適しています。
デッサンで使用する場合は、鉛筆の先が表面をツルツル滑り、また、引いた線そのものがハッキリと出ますので、初心者の方には使用が少々難しい紙です。
今回、私が使用致しました用紙は 『 ヴィファール 』 と言う水彩画用紙でした。
この用紙は、荒目、中目、細目と、紙肌の違う3種類あり、今回は細目に描きました。 今回のヴィファール(細目)は、ケント紙と同等の紙肌になります。
デッサンの練習においては、得に 使用紙の選択にこだわる必要はありません。
鉛筆による絵画制作 を試みる場合は、使用紙の選択によって作品の表情がとても変わってきますので、その際には 選択を良く検討する必要があります。
折角の機会ですので、紙肌の違い を 今後のご参考までに ご覧頂きたいと思います。 (#^.^#) 下記の5種類を、並べて撮影してみました。
- ニューブレダン (主に版画・水彩)
- ヴィファール細目 (主に水彩)
- キャンソン (主にパステル・水彩)
- 一般的な画用紙
- ワトソン (主に水彩・パステル)
紙の種類によって、表面に かなりの凹凸の差があるのが お分かり頂けましたでしょうか? もう少しズームアップしてみましょう‥‥★
表面の凹凸が大きい紙に描くと、粗い描写になります。 ザックリした表現がしたい場合は、荒目の用紙が適しています。
表面に凹凸がなく、ツルツルした紙肌になればなるほど、目の細かい、細密な描写が可能になります。
使用する紙によって、全く異なる印象の仕上がりになりますので、色々と試されると 面白いですよ★★★
( デッサンの練習には、紙肌の凹凸が少ない普通の画用紙が 適しています! (^_^) )
そして最後に もう一つ‥‥★
デッサンをする際の 姿勢 や 鉛筆の持ち方、 照明 についてのお話は、以前に 『デッサンをする姿勢と 鉛筆の持ち方』 として掲載 させて頂いておりますので、
また、こちらも 合わせて ご覧頂けましたら幸いです (^_^)★ 左の画像クリックでも、掲載ページが開きます。
それでは‥!大変長らくお待たせを致しました。 初めにお伝え致しました通り、動く画像にて 今回の記事を 書き終えたいと思います。 (=^●^=)
長い記事を、最後までお付き合い下さいまして 誠に有難うございました! m(_ _)m ♥ミ